■頚の生体機能
頚部の側方アライメントはLordosisで生理的彎曲が保たれていなければならないが外見上は判断できない難しさがある。
頚部を見るうえで大切なのは側方からの外見上の姿勢が痛みによる機能的(生理的)アライメント異常なのか器質的(病的)アライメント異常なのかを判別することが大切となり、その視点から「頚部のProtraction」と「頚部の屈曲」を見ることが必要となります。
ProtractionはC7付近で後弯しC0/1・2で前弯が増すため相殺されアライメントが逸脱しにくい。(図1)
胸椎ストレートがある場合は、すでにC7付近の硬膜はすでに緊張し後弯出来ない為C3.4付近で強い後弯が起きるアライメント異常が生じKayphosisネックとなる。(図2)
「屈曲」はC7を背屈するという運動が起こり軸は前屈していくのであるが頚椎はもともと前弯している為、簡単には前屈できない構造となる。そのため意図的(筋力)にストレートにするのは難しく、前屈が生じない状態で病的ストレートになっているものもある。(図3)反面、筋肉の力だけではストレートネックにはならない背景から、外傷による後遺症などで生活様式の変化を強いられる結果、強(過)屈曲C0/1/2で後傾の異常(後弯ネック)もある。(図4)
鞭打ちなどもそうである。
頚部のアライメント見るに当たりprotonationトリックモーションを念頭に置いて正確なアライメントを導き出さなければならない。(図5) ※前屈がなければ無視しても良い。
・治療上の考察
見かけ上、耳孔と肩峰が垂直でも頸椎のアライメントは正常とはいえない。
Kayphosisネックは胸椎ストレートがあるため分かりやすく治療は背部の筋緊張を下げ首の緊張を下げるようにしてMobilityを上げる。後弯ネックは頚部の炎症の軽減と筋の疼痛性筋萎縮を防ぐため早期からの頚部インナーマッスルの強化をする。腰のフラットバック由来のもの生活様式由来のもの(OA症候群等)はC0/1/2の代償的前弯なのかC0/1の異常前弯化なのかが鑑別することが重要となる。C0/1の異常前弯化がある場合はストレートネックの裏付けとなる。
また、アライメント異常は延髄・脳幹の過緊張を起こして血流が悪くなり神経核を炎症させる結果、頭痛・めまい・吐き気・嘔吐・視力低下など、自律神経の中枢でもあるため不眠や顔がほてるなどの症状も出る。痛みも頚の神経根の炎症のみならず脊椎全体の神経根の炎症にも繋がる。
異常を統合して的確なアプローチを決定する。