■腰椎のすべりとフラットバック(腰痛理論)
腰椎は解剖学的形態から剪断力が働き前方に滑りやすい構造を持っている。
前方すべりを回避するためフラットバックにする方法と腰椎前弯を強くしてすべりを調整する方法がある。想像してもわかる通り最初のケースは軸が前方へ移動する為、椎間板が炎症しやすくなり、後のケースは軸が後方へ移動するため椎間関節に負担がかかりギックリ腰になりやすい。(下図参照)
上記の2つの代償を詳細に病態の順序考えながら検証してみたい。
まず剪断力であるがL2からL5まで下部に行くに従い大きくなり、以下具体例を示す。
L2は椎間板が軽度後弯している為、剪断力の評価としては除外する。
L3がすべることは上部の椎間板がほぼ水平な為、剪断力として臨床上見ることは殆どない。
L4の前方辷りはL3の神経根を上関節突起により炎症をさせてしまう。またL4がすべることによりすべった運動エネルギーがL4/5・L5/S1の椎間関節にかかる位置エネルギーが軽減され後方にすべりやすくなる。その結果、症状安定も期待できる。しかし、L5の椎体の後方上縁部で神経根を炎症させ進行すれば仙骨は上記の運動エネルギーを止めるため仙骨・骨盤を安定化させフラットバック化させていく。あくまでもL4/5の椎間関節は破綻していることがカギとなる。破綻していればフラットバックが本要素が原因なのか仙骨の先天的要素由来か比較検討する必要がある。
次に多発性の椎間板が変形または破綻した場合は神経根症が多部位で起こり下肢の痛みシビレは強くなる。この時点でフラットバックでは痛みを制御できないため前弯となる。まとめると以下のようになる。
単発の前方すべり
↓
すべっている椎骨の上部の神経根症
↓
下の椎間板も不安定で後方すべり発生しすべっている椎骨の下部の神経根症
↓
腰部のフラットバック化
↓
多発性の椎間板不安定による多発性神経根症
↓
腰椎前弯
さて、仙骨との相関であるが後天的要素との考察が必要になり、仙骨はそもそも先天性要素の場合、重心が後方へ移動しアライメントが崩れるのであるが、その代償方法は仙骨の功でも述べたように2つある。今回の腰椎の滑りから波及する病態も発生機序は違うものの最終的には同じ代償方法となり原則は同じ治療を実践している。詳細には面から線、線から点となり治療は臨機応変なものとなる。あくまでも治療の原点はStrength・Fiexibility・Stsbilityであること。