仙腸関節

■仙腸関節の生体力学
仙骨は後弯、骨盤は後傾しているのが理想的であるが、人はそれぞれ個々の形を持っている為、ショックが吸収しにくい事や神経走行上の問題により物理的炎症(以下炎症と記述)を起こす。どのような腰痛になるか予後できるのです。

仙骨が前弯している人(S1のL6化と腰椎の仙骨化と移行椎含む)は重心が後方に移動して骨盤も前傾していてショックを吸収できない状態となり、重心線が椎間板から逸脱し椎間関節付近に移行していため、少なからず、ぎっくり腰をしやすい体質となる。後方移動を代償している機能は二つあり、腰部をKayphosisにして骨盤を前傾させない補正の方法と仙棘筋を使って骨盤を前傾させ補正する方法が存在する。先の方法は仙骨の前傾角度が軽度であり、後の方法は仙骨の前傾角度の過度と考える。(下図参照 ストレートバックと骨盤の前傾)

 


 Kayphosisのケースは脊髄(馬尾)が引っ張られるためS1からS5の椎間孔の入り口に神経根炎が起きたり、生理的弯曲や軽度後方重心により椎間板の弾性が利用できないためショックが吸収できにくく偏った重心線は股関節・膝関節・足関節・踵・足底板に負担をかけ思いもよらない原因からこれらの場所に炎症をもたらす。
仙棘筋を使って過度骨盤前傾のケースはショックを椎間関節が受け止めるため変形も起きるため脊椎の後方辷りによる神経根症が出たり、脊柱管が仙骨の過度前弯により脊柱管内の馬尾神経のtensionをかなり上げることになり馬尾神経、馬尾神経出口の摩擦係数が上がり広範囲に多発性の炎症を起こす。また、仙棘筋による付着部も牽引力による負担がかかるため炎症の確認が圧痛で確認できる。下肢に至っては先に述べた各関節とショック支持機構にさらに負担がかかり強く炎症を起こしてしまう。また2つのケースに共通するのは共通して言えることは程度の違いはあるものの肩凝り頭痛に影響することも肝心である。また中枢性感作に注意して移行しないようにしなければならない。
それぞれの不具合ウィ―ポイントは先天的形態であるものと、後天的形態のものがあると思われるが何れにしてもアプローチは変わりない。後天的なものについては腰椎のフラットバックの功でさらに深く追求してみたい。
次にアプローチであるが支持している筋肉の持久力をつけ重心を移動しやすい関節機能を取り戻すモビライゼーション手技を実践し体軸を安定させるコアトレーニングを実践すれば軸はずれていても問題付近の炎症は沈静化される。この間、もちろん臨機応変に物量機器を使い分け、組織が固ければ高周波、炎症が強ければ超音波、疲労物質が顕著であれば(筋膜性の炎症)干渉波、深部の炎症や癒着には衝撃波を利用している。
最終的に正確な評価が確かな回復に繋がるのです。

なお神経の炎症が沈静化されない場合 その1

前述のアプローチを継続しつつ、仙骨の6つの軸を評価する必要がある。中でも斜軸の左斜軸前方の捻じれ右斜軸後方の捻じれ右斜軸前方の捻じれ左斜軸後方の捻じれを四つん這いの肢位で検査する。この検査は徒手医学の中でオステオパシーのマッスルエナジー(Muscle enaergy technique:以下MET)仙骨評価が優れている。ここでは割愛いたします。

仮に上記評価で左斜軸前方の捻じれが見られた場合を考察してみると連結運動パターンで右寛骨の後方回旋と左寛骨の前方回旋が見られるため、METの手技で寛骨を真逆の方向へ誘導し左股関節内旋筋と右股関節外旋筋が伸ばされていき仙骨ともにニュートラルポジションがインストールされていく。        

これにより、神経根の出口の摩擦係数が軽減され炎症は沈静化されていく。その後、自宅でのオートストレッチングを実践していくことで良循環が定着されていき根治してく。.

なお神経の炎症が沈静化されない場合 その2

次は股関節のモビライゼーションが重要となり、股関節は動きが大きいだけに少しでも制限されると、その反作用は体幹に大きく影響する事もと考えられ仙腸関節や椎間関節、椎体間にhypermobilityやhypomobilityが起こりアライメント異常が出現し神経根に炎症を作り出す。パルペーションで股関節のどの方向が制限されているかよりも前方回旋、後方回旋に対しての制限を解除することが優先順位となり股関節の視点からすれば内旋制限・外旋制限を解除することになる。

方法は背臥位で両脚を組み術者は股関節外旋を意識しながら両脚を上方へ動かす事で股関節内旋制限が解除され寛骨前方回旋制限が解除されることになる。もう一方は腹臥位で片方のづつ股関節を体幹の側壁につけるようにして術者が障壁を感じながら上方より仙骨を圧迫することで股関節外旋制限と寛骨後方回旋が解除される。                                 

これにより、股関節のMobilityが改善され体幹の動きが正常化することで神経根の炎症が軽減する。

なお神経の炎症が沈静化されない場合 その3

次は寛骨の6つの動きを評価し、ニュートラルポジションを作る。異常は前方回旋、後方回旋、外方回旋、内方回旋、挙上、下制のどこが変位しているのか背臥位膝伸展位での下肢の状態と背臥位膝外膝屈曲での下肢の状態を比較し、次はお臍から上前腸骨棘までの長さを測定することで変位が特定できる。

これにより、Repositionするための的確なリハビリが決まり仙骨との動きにもしっかりとリンクするため神経根の摩擦係数が下がることに繋がる。                  

上記その1その2はその3は神経根の炎症についての考察であるが,その他の障害や炎症でも同じような考え方が出来る。